二学期にひと月遅れで編入したのもあって、あっという間に二学期が終わり、薫は二週間の冬休みを禄輪のもとで過ごした。芽はというと実家に帰っている。

修業祭のあと、帰りの車の中でまた困ったように笑った芽に「一緒に帰らない?」と誘われたが断った。

帰ったところで居場所は無いし、喜んでくれる人も会いたいと思う人もいない。

それよりも禄輪のもとで、参加出来なかった授業の遅れを補うために稽古をつけてもらう方がよっぽどいい。



一年で一番忙しい大晦日と元旦を宿題をしたり自主練をしながら過ごしていると、忙しさで若干やつれた禄輪が三箇日が終わった頃に部屋に顔を出した。


「すまん薫、待たせたな。やっと落ち着いた」


疲れた顔で座った禄輪。


「別に忙しいの分かってるし。明日からでもいいよ稽古。今日は休んだら?」

「薫……お前大人になったなぁ……学校で同級生に良い刺激を貰ってるんだな」

「……断じて良い刺激ではない」

「ははっ、楽しそうでなによりだよ。そうだ、これ。お前宛に届いてたぞ」



そう言って懐から手のひらサイズの葉書を取り出した禄輪は薫に手渡した。