編入する前に禄輪からいくつか制約を聞かされた。
その中の一つに、神修在学期間中は実習系の授業に参加してはいけない、というものがあった。それはもちろん自分の言霊の力が呪に偏っていることが理由だ。
禄輪の元で稽古したとはいえ、完璧に調節ができるようになった訳ではない。呪が暴走してしまった際に周りの生徒に危害が及ばないための措置なのだろう。
禄輪はその措置に納得がいっていないようだったけれど、必要な祝詞は禄輪から習っているし、長期休暇で帰った際は遅れた分の稽古をつけてもらうことになっている。
何も望んでいないし期待もしていない、不便もない。なんの問題もない。
俺自身がそう思っているのに、どうして禄輪のオッサンや芽が気に病むんだろうか。
禄輪も芽も昔からそういう所があった。未だによく分からない。
自分の事じゃない、他人事のはずなのに。他人事なら放っておけばいいのに。
四限目が始まる鐘が鳴り響き机につっ伏した。