似過ぎなお前らが悪い、と開き直った宙一は「とりあえず薫でもいいから宿題みせて!」と瞳を潤ませて顔の前で手を合わせる。
ふいと顔を背けると「薄情者ーッ!」と肩を揺すられた。
背丈が自分よりも少し高くなり声が低くなったこと、昔よりも少し落ち着きが出たこと以外、芽は前と変わらなかった。学校生活や寮生活のことは積極的に教えてくれるし、休み時間も話しかけてくる。ただ芽はたまに、とても困ったように笑うようになった。
嬉々は初日から相変わらずで必要な時以外は一切話しかけてこず自ら会話にも混ざってくることもない。休み時間は殆ど本を読んで過ごし、たまにノートに何かを書き込んでいる姿を見た。
一番厄介なクラスメイト諏訪宙一はというと、二週間もすぎたと言うのに未だ自分たち双子の見分けがつかず、一日二三回はこうして間違えてくる。間違えたからと言って悪びれる様子もなく、むしろ開き直るくらい図々しい。
それなら他の学年のように遠巻きにして見られた方がまだマシだと思うほど、いつでもどこでも宙一は騒がしかった。
「薫、宙一、嬉々。そろそろ清掃行こ。遅れたらまた斎賀先生の拳骨だよ」
「ゲッ、まだ数学写せてないのに! 芽〜、薫が意地悪する〜!」
「宿題は自分でやるものだよ。俺に甘えても意味ないからね」
「……チッ、使えねぇな」
「お、喧嘩する? 喜んで買うよ」
そういえば昔も些細なことでよく喧嘩していたなと思い出す。人当たりがいいくせに、昔から自分よりも喧嘩っ早かった。