「確かに必要なことは全て教えたし、"どうして今更"と思うかもしれない。けれど学校でしか経験できないこともあるんだ。俺はそれを、薫に経験して欲しい」

「……どんなこと、それ」

「それは行ってからのお楽しみだな」



乱雑に自分の頭を撫でた大きな手を苦い顔で払った。

入学案内と迎門(げいもん)の面が入ってるから用意を整えときなさい、そう言って禄輪は木箱を手渡した。