初めは遠慮していた幸だったが、せっかく隆永がいるのならと十キロの米や徳用サイズのあれこれを買うともちろん隆永にそれを持たせた。


「いつもは重いから小さいのしか買えなくて」


まとめて買えなかった重い物を購入出来て幸は上機嫌にそう言う。



「また隆永さんをぱしり(・・・)にしようかな」

「あはは、喜んで。幸さんのそういう(したた)かな所も好きだよ」


幸は顔を赤くして隆永の横腹にパンチを入れる。全く本気じゃないその拳に隆永は頬が緩んだ。



「全く、隆永さんは直ぐにそんな……」

「本音だよ。俺、正直者だから」



追い打ちをかけるような言葉に幸は口を結んで黙りこくる。



「……何で、私なんですか?」



意外な反応に目を瞬かせた。

いつも隆永が「好き」やら「愛してる」やら「結婚してくれ」なんかを口にする度に、幸は顔を真っ赤にして話を終わらせようとするか話題を変えようと躍起になるからだ。

今日は二回も興味を示してくれた。


「もしかして、その返答次第によっては俺と結婚────」

「しません。私ナンパするような人は大嫌いなんです」

「あれはナンパじゃなくてプロポーズだよ」



うるさい!と噛み付く幸に、隆永は楽しげに声を上げた。