激しい爆発音がした後、隆永は幸に薫を任せて離れを飛び出した。社頭を全速力で横切っていると同じく騒動に気がついた神職の何人かが外に出てくる。



「全ての建物を調べるんだ! 一人で動かず、巫女は禰宜以上の神職と行動!」



端的に伝えたその指示に最初のうちは戸惑っていた神職たちも表情を引き締め方々にかけ出す。

自分も本殿へ、と駆け出したその時、社務所から飛び出してきた真言が己の名前を叫ぶように呼んだ。


「隆永宮司! お待ちください!」

「この緊急事態に何、端的に話して」



転がるように走ってきた真言は隆永の前で止まって膝に手を着いて息を吐いた。



「芽さまが母屋にいらっしゃいません……!」



隆永は目を見開いた。



「ちょうど私も母屋にいて、爆発音の後すぐに芽さまのお部屋へ駆けつけたのですがいらっしゃらず……!」

「芽の部屋以外は」

「母屋と社務所にはいらっしゃいませんでしたっ!」



眉間に皺を寄せた。

本殿、拝殿、社務所に宝物殿……社頭にある建物は全て神職が中へ入って捜索している。

指示を出して五分は過ぎた。あれだけの大きな音なら、聞こえる場所にいたならば芽は驚いて出てくるはずだ。