キッパリとそう言いきった潔さに、幸は堪らず吹き出した。



「もう……息子たちより手がかかる人ね」

「そんなの今更でしょ?」



幸が言葉を返す前にその唇は塞がれた。三度目には力が抜けた幸が隆永の背中に腕を回す。

優しく見下ろしていた瞳に熱っぽさが宿ったその瞬間、ドンッ────と、まるで雷がすぐそばで落ちたかのような激しい爆発音が響き、その一瞬だけ身体中に上から押さえ付けられらような圧力がかかった。

一瞬息が止まった幸は、驚いて咳き込む。

同じようにそれを感じた隆永は目を見開き弾けるように身体を起こした。



「幸ッ!」

「だ、大丈夫。ちょっとびっくりしただけ」



必死に深い呼吸を繰り返して息を整える幸の背中を摩る。その間も隆永は険しい顔で障子の外を睨んだ。



「今の、何?」

「分からない、ちょっと見てくる。幸は薫と一緒にいて。すぐに誰か神職をこっちに向かわせるから」



そう言って幸の頬を撫でると、隆永は部屋を飛び出した。

その背中を見送って幸も急いで立ち上がった。