いつもの柔らかさがない、覇気のない力の抜けた声だった。
「俺自分で言うのも何だけど、今まで人から嫌われたことってないんだよね。だからかなり、こたえる」
「ほんとに自分で言うのも、だね……」
「はは、事実だし」
軽口にも元気がない。隆永らしくない。
それが彼がどれだけ疲弊しているのかを物語っているようだった。
「疲れたよ、超疲れた。だから休み取ってさ、四人でハワイとか行っちゃう?」
「真言さんが追いかけてくるよ」
「大丈夫。そうならないように、長期で出かける時はあいつを権宮司に昇進させてから行くし」
「もう、職権乱用じゃない」
ダメかー、と笑った隆永。
動く度に髪が首筋に触れてくすぐったい。ふふ、と笑を零してその黒髪を撫でた。
グリグリと頭を動かして隆永は擦り寄る。
「ハワイがダメなら、別の方法で癒されるしかないか」
「別の方法?」
「今頃薫も自分の部屋で大人しく寝てるわけだし────」
そう言いかけた隆永の言葉を全て聞き終える前に視界が反転した。
久しぶりに見た楽しそうな顔の隆永と、その後ろに天井が見える。
「えっと……隆永さん?」
「多くは望まないけど、出来れば次は女の子がいいな」
「ちょっと待って……! 疲れてるんだよね? なら早く寝た方がっ」
「俺としてはこっちの方が断然癒される。正直今まですんごい我慢してたんだから」