「幸さん、結婚してください」 「私の話聞いてました? また叩きだしますよ」 赤い顔でこちらを睨む幸。 "また"と幸が言うのも、隆永がここへ初めて来た日にプロポーズした時に驚いた幸に引っぱたかれたのだ。 どうやら彼女は口より先に手が出がちらしい。 「あはは、それはご勘弁」 上げた両手をヒラヒラさせて降参の態度を示した。