次の神主に弟の方が選ばれた。
隆永さまは呪の方を神主に考えられているらしい。
宮司は一体何を考えているんだ!
わくたかむの社はもう終わりだ。
次選ばれるのは芽さまではなかったのか。
なぜ芽さまを差し置いて、あの弟が選ばれたのだ。
力の強さで言えば、弟の方でも頷けるが……。
しかし呪われた宮司など、創建以来最大の汚点だ。
本当に御祭神の神託があったのか?
嘘を申しているだけなのでは。
けれど居合わせた者曰く────。
瞬く間に広まったその噂は、社中のものたちを激しく動揺させた。
その日はいつも母屋から食事を運んでくる神職が来ず、代わりに真言が運んできた。
ぼそぼそと幸と一言二言交わすと、一礼して直ぐに部屋を出ていく。何の話?と幸に尋ねても曖昧に笑って「夕飯食べようか」と誤魔化された。
帰省してから毎日食事を共にしていた芽も、その日は離れに来なかった。その日を境に、芽は離れへ来なくなった。