言祝ぎの子 参 ー国立神役修詞高等学校ー


「今日はおめでたい日ですよ、そんな顔なさらないでください」


テキパキと着替えを用意した真言は、薫の白衣を脱がせながらそう言う。



「……真言は、僕と話すのが怖くないの?」

「怒った時の先代の宮司の方が怖いですよ」

「……ふふ、そうだね。おじいさまの方が怖いね」

「ええ、そうですよ。だからおじいさまに叱られないように、しゃんと胸を張って渡御行列にお並びくださいね」



うん、と頷いた薫に真言は頬を緩めた。



成長するにつれて力の扱いは上手くなっているが、その力も比例して大きくなっている。そしてそれを恐れている社の神職は多い。

それに気付いているからかはたまた自分の力について理解しているからか、幼い頃に比べて薫は言葉数が格段に少なくなった。

活発に人と関わりを持とうとする芽と比べると、真言はいつも心苦しかった。


笑った顔はこんなにも同じなのに、なぜ彼らの運命はこうも別れてしまったのだろうか。


少しの間だけでも彼が心安らかであれば、真言は心の中でそう願った。