「────今年の開門祭ね、僕も渡御行列に並ぶんだって」
鎮守の森でいちばん高い柏の木で木登りをしていた薫は、先に上へ上へと登っていった芽に向かってそう叫んだ。
次の瞬間、バサッと木の葉がゆれて逆さ吊りになった芽が目の前に現れる。
薫は「うわっ」と声を上げて太い幹にしがみついた。
「ホントに!?」
「め、芽あぶない……」
「ホントに出られるの? 蛟龍のお衣装着る?」
「着る……。お父さんが神事に参加しても良いって。最近はね、朝拝もでてるし、祓詞も奏上してる」
「すごい、すごいよ薫! たくさん頑張ったんだね!」
逆さ吊りのまま手を伸ばした芽は薫の頭を抱きしめる。
わくたかむの社の御祭神はこれといって決まりはなく、八百万の龍神を御祭神として祀っている。それゆえに創建を祝う開門祭では、龍神に纏わる出し物が多い。
その中の一つ渡御行列は龍神や龍神の子供蛟龍に扮して社内を練り歩く神事だ。
神事へ参加する事を許されていなかった薫は、いつもそれを幸と一緒に離れから遠巻きに見ていた。
「嬉しい、頑張ろうね薫!」
芽いたい、とその腕を叩きながら薫は頬を緩ませた。



