夕飯を食べ終えて少し経った頃、社頭の砂利をふむ軽やかな足音が聞こえてきて、幸の部屋で暇を持て余していた薫はぱっと顔を上げた。
「お母さん、薫、ただいま!」
制服姿のままで荷物も置かずそのまま来たらしく、肩で息をしながら濡れ縁に飛び込んできた芽はその場にどさどさと荷物を落とした。
「あ、こら芽! せめて床の上に置きなさい!」
「へへ、ごめんなさい! 薫、遊びに行こう!」
手を差し出した芽に、薫は飛び起きてかけ出す。
その手を掴んで裸足のまま外へ飛び出した。
「あっ、こら薫、靴履いて! 芽も母屋にご挨拶したの!?」
「あとで〜」
手を繋いで飛び出して言った小さな背中に「もう……」と呆れた顔で息を吐く。
その時、すっと障子が開いて隆永が中へ入ってきた。
「賑やかな声がすると思えば」
「隆永さんも叱ってよ。お義母さんに言われるのは私なんだからね」
「言っても聞きやしないって、あの年頃じゃ」
はは、と笑いながら隣に腰を下ろした。



