気持ちをそのまま言葉にした。お母さんにぶつけてしまった。
だから、お母さんは一緒に寝れなくなったの? 僕のせいで、お母さんを傷つけた?
一番してはいけないとあれほど言い聞かせられてきたことをしてしまったんだ。
はたはたと布団の上に涙が零れた。どうしよう、と顔を歪めたその時「薫……?」と控えめに名前を呼ぶ声が聞こえた。
縁側の方の障子に小さな人影がかかっていた。
「薫……? おきてる?」
涙を拭いながら布団から抜け出して障子を開けると、芽がそこに立っていた。
目元を赤くした芽はすんと鼻を啜って薫を見た。
「薫、ごめんね……っ!」
突然の謝罪に目を瞬かせた。
「真言からきいたの。どうして薫がお父さんとお稽古してて、いっしょに母屋に住めないのか」
「あ……」
「僕、薫の気持ちもかんがえずに、薫をかなしませること言った」
芽は大粒の涙をぽろぽろとこぼした。
芽が自分の前で泣いているのを初めて見た。
いつも芽は笑っていて、泣くのは自分だったから。自分がないていると一目散に駆けつけてきて「どうしたの? 大丈夫?」と声をかけてくれた。
つられるように涙がこぼれた。
「薫……? どうしたの? 大丈夫? 僕がいじわるなこと言ったから?」
「ちが、う」
「なら泣かないでよぉ……」
芽はぽろぽろと涙を零しながら自分の袖を薫の顔に押し当てた。
ごしごしと零れる涙を拭えば「いたい」と薫が声を上げる。



