言祝ぎの子 参 ー国立神役修詞高等学校ー



目が覚めると自分にあてがわれた部屋で眠っていた薫は、ぼんやりと天井を眺めてからゆっくりと体を起こした。

障子の隙間から見えた空には月が出ていて、冬の名残を感じる冷たい風がそよそよと吹いていた。



「お母さん……?」



いつも眠る時は幸の部屋に布団を敷いて隣で眠っていた。自分の部屋で眠る時は、幸の具合が悪い時だけだ。

離れの中は静まり返っている。



眠る前のことを思い出した。

『お父さんもお母さんも、芽も、みんなだいきらいッ!』

幸の胸の中で確かにそう叫んだ。

その瞬間、ハッと口を抑えた。


覚えているいちばん古い記憶にすらある、嫌という程隆永から聞かされて続けた言葉が脳裏を過った。

『腹が立った時や悲しい時、その気持ちのままに言葉を発してはいけない。もし薫がそうしてしまえば、周りの人を傷つける事になるからだよ』



「僕……」




お稽古が痛くて怖くて嫌で、お母さんのお膝で話してる芽が羨ましくて、学校に行ける芽に腹が立って、それで────。

お父さんはちょっと怖いけど嫌いだなんて思ってない、お母さんも大好きだ。芽も、いつも優しくしてくれるのが凄く嬉しい。なのに、僕は。