「はい、お待たせ。おばあちゃんこの後どこかいくの?」

「今日は神社へ朔参りにね。でもやっぱり病院に行こうかと思ってるよ」

「どっか悪いの?」

「最近肩が重くてねぇ」


あら大変、と自分の事のように不安げな表情を浮かべた幸。

そんなやり取りに隆永は顎に手を当てた。


「それじゃあね、二人ともありがとう」

「困ったことがあったら言ってね。私もお父さんも、いつでも駆け付けるから」


幸がショーケースを回って紙袋を渡そうと動いたのを隆永が片手で制した。

丸い目で己を見上げた幸に隆永は笑う。幸の手から紙袋を取った。


「ばーちゃん、外まで荷物持つよ」

「あらありがとう。さっちゃん、やっぱりいい男だよこの子は」


幸は顔を真っ赤にして「やめてよ、もう……」と唇を尖らせた。

外に出ると、隆永は紙袋を渡した。


「ばーちゃん、最近暗い所とか何か嫌な感じがする所に行った?」

「暗い所? そうねぇ、普段は暗くなる前に家に帰るし、なかったと思うんだけれど」

「なら変わった事とか」


変わったこと?と不思議そうに首を傾げると頬に手を当てて考え込む。

そして数秒目しないうちに「あっ」と声を上げた。