「薫はお父さんになにをならってるの? 僕は真言に"はらえことば"ならったよ!」
「……"しゅ"のおさえかた」
「へぇー! いいなぁ薫は。僕もお父さんにおしえてもらいたいなぁ」
幸が止めるよりも先に薫の表情が強ばった。
「芽」と諭すように名前を呼べば、芽は不思議そうに首を傾げた。
「でも次の春からはいっしょにお稽古できるね。薫も"しんしゅう"にいくでしょ!」
「芽……!」
窘めるように名前を呼ばれたことに芽は目をキョトンとさせた。
「しんしゅうって……なに?」
「薫、あのね────」
「学校だよ! "シンショク"になるための勉強をするところだよ。友だちもいっぱいいて、お祭りもあるんだよ! 六歳になったらみんな行くって、真言いってたもん」
薫が大きく目を見開く。
「お母さん、僕も"しんしゅう"行くの……?」
「あ……あのね、薫」
「僕も六歳になるから、芽といっしょにいくの? そしたらお父さんのお稽古も終わりだよね……!」
瞳を輝かせて自分を見上げる薫にすぐに言葉が出なかった。
こんなにも明るい声を出した薫は久しぶりだったからだ。



