言祝ぎの子 参 ー国立神役修詞高等学校ー


隆永の言った通り、生まれてすぐに薫は敷地の一番奥にある離れへと移された。

勿論幸もついて行こうとしたけれど、薫から受けた呪いの後遺症で布団から起き上がれず、薫を腕にだけたのは出産してから十日も過ぎた日の事だった。


まだ一人で歩けない幸は隆永に付き添われて離へと向かった。


「まだ赤ん坊だから、俺や真言ならなんとか対処できる。けれど幸は俺が渡した形代の容量が超えた瞬間、またあの時みたいになるかもしれない」


あの時というのは、きっと薫を産んだ瞬間のことだろう。あの時感じた今までに味わったことの無いような感覚は、いつまでも忘れなれないだろう。


「薫と過ごせるのは、十分が限界だ」


その言葉を聞きながら、小さな子供布団にくるまってあどけない表情で眠る薫を抱き上げた。

温かい。優しい匂いがする。

目元は隆永に、鼻と口は自分に似ている気がする。何より兄弟の芽と瓜二つの顔立ちだった。



「……私も薫と離れに住む」



その言葉に隆永は目を剥いた。



「……さっきの俺の話を聞いた上でそう言ってるんだよね」

「うん、そう。聞いた上で決めた、私は薫とここに住む」

「薫と一緒に暮らせば、幸の身体はずっとそのままなんだよ。大きくなれば呪も増していく。俺の形代だった全てを賄い切れる訳じゃないんだ……!」