未来写真を見ると、内容が変化して、僕たちとマネキンと白河先輩、そして下には、ぽかんと見上げている相坂さんが写っていた。
 オレンジ色のひかりがあたりに満ちて、和歌子の髪飾りの三枚目の葉っぱが無事に色づく。
 これで、残りはもう一枚だけ。
 だが、それを見ても、僕には達成感があまり無かった。
 未来写真の中身が変わるとすぐに、松野とシラコーの漫画のことで、頭がいっぱいになっていたのだ。
「……加澤。加澤ってば!」
「……うん……?」
 気づくと孝慈が、おーい、生きてるぅ?と僕の顔の前で手を振っていた。先輩と相坂さんはすでに帰ったようだ。
「俺、さっきのサイン会行ってみたいんだけど、加澤も行かない? 白百百高校凸凹カルテット、だっけ」
「……ああ、さっきの……」
 俺は知らない漫画だけど、珍しい機会だし、と孝慈は笑った。
 和歌子も言う。
「じゃあわたしも行きます。サイン書くところって、ちょっと見てみたかったんです」
「松野は?」
「……じゃあ、わたしも、行こうかな……」
「だってよ」
「……うん、それなら、僕も……」
 生返事をしながら、僕の気持ちは既に、ここではない場所、今ではない時間へと巻き戻っていた。