松野を好きになったきっかけは、気づけば惹かれていたから?
いや、すべては中学時代に断ち切ったはずの、「思い出」というものに由来する、ほどくことのできない連鎖だった。
彼女に惹かれたのも、二度と会えない鈴夏のことがまだあるからで。
胸中に残った傷を未だに忘れられないから、という結論が出てきて。
これはきっと、松野にとっても鈴夏にとっても、すごく失礼なことだ。
それでも僕は、松野に強く惹かれずにはいられなかった。
松野と鈴夏とを重ねるのは、未練でしかないと分かってる。だけど、よりによって松野が同じ漫画を好きかもしれないなんて。否応なしに重なる。
幸運集めのフォークローバー。『白百百高校凸凹カルテット』とその続編、『幸運集めます!』――。
松野もあの漫画を好きなのかもしれない。グループの名前と同じ。でもそんなの、ただの偶然かもしれない。それでも。
――それでも僕は確かめたい気がする。
沸き上がった気持ちだった。
松野にしようとしているこの質問が、鈴夏のことに、決着をつけるかもしれない。
そんな身勝手な期待を抱きながら、僕は階段を降りた。
いや、すべては中学時代に断ち切ったはずの、「思い出」というものに由来する、ほどくことのできない連鎖だった。
彼女に惹かれたのも、二度と会えない鈴夏のことがまだあるからで。
胸中に残った傷を未だに忘れられないから、という結論が出てきて。
これはきっと、松野にとっても鈴夏にとっても、すごく失礼なことだ。
それでも僕は、松野に強く惹かれずにはいられなかった。
松野と鈴夏とを重ねるのは、未練でしかないと分かってる。だけど、よりによって松野が同じ漫画を好きかもしれないなんて。否応なしに重なる。
幸運集めのフォークローバー。『白百百高校凸凹カルテット』とその続編、『幸運集めます!』――。
松野もあの漫画を好きなのかもしれない。グループの名前と同じ。でもそんなの、ただの偶然かもしれない。それでも。
――それでも僕は確かめたい気がする。
沸き上がった気持ちだった。
松野にしようとしているこの質問が、鈴夏のことに、決着をつけるかもしれない。
そんな身勝手な期待を抱きながら、僕は階段を降りた。