デパートに入った僕たちはまず、エレベーターを使って六階の屋上までのぼった。
 エレベーターから降りて、まずはフェンスごしに景色を見渡し、近くの建物を未来写真と見比べる。
 下に見える学習塾やコンビニの位置関係からして、先輩が落ちてしまうのはこのデパートで正解みたいだ。
 ちなみに転落する白河先輩が写っていたのは、デパートのだいたい二階と三階の間くらいだった。
 未来写真の場所はこのデパートだと分かって、まずはほっとする。
 白河先輩はまだ屋上には来てないみたいだ。
 この屋上は休憩所で、自販機やベンチが並んでいる。
 それから、四方はそれぞれ二メートルほどの高さのある転落防止用のフェンスで覆われている。
 このフェンスの大きさからして、普通に誤って落ちるとは考えにくい。
 あまり想像したくはないが、フェンスをよじ上って自分から乗り越えるのかもしれない。
 フェンスの外からはまだ一メートルほど地面が続いていて、端まで余裕があるし。
 金網に穴が空いてないかや、壊れそうな場所が無いかも確認するが、四方のどこも固くてしっかりしているため、それも考えにくい。
 調べるために、しばらくフェンスに沿って屋上をぐるぐる回っていると、
「わかったぞ!」
 孝慈がとつぜん叫んだ。
「俺の推理はこうだ!」
 そう言うと、孝慈は屋上の端を得意気に歩き出した。
「え、もしかして、もう写真の意味がわかったの?」
「おうよ」
 そして孝慈はフェンスにすぅっと手を触れて言う。
「この謎を解くカギは、ポーチそのものというより、先輩がポーチにつけてたあのキーホルダー達のほうだ!」
「先輩のキーホルダーって……、あのゲテモノ妖怪キーホルダー?」僕はさっきの先輩とのやりとりを思い出す。
「でも、あれと彼女の転落と、何の関係が?」
「簡単なことさ」
 孝慈は続ける。
「キーホルダーの一個がこのフェンスの網目に引っ掛かって、ポーチから外れてしまった。そのままキーホルダーは、網のすきまから柵の外に落ちてしまったんだ」
「ほうほう、それから?」と和歌子が聞いた。