孝慈の言いぐさは少し無理矢理な感じで、僕はため息をついた。
むしろ、その言い方じゃあまるで、松野が好きなのは孝慈だって言うようなものだ。
だけど孝慈は自分じゃなくて僕の方だって考えて。
「コージ、お前は『そういうこと』にしたいんだな」
「だって、絶対好きだって、松野」
孝慈はキキッ、と笑う。何が好き、と明言しないところがちょっとニクい。
「加澤の考えてることも分かる。でも、松野は俺じゃないし、俺も松野じゃないよ。だから、あんま卑屈にならない方が良いぜ」
「どうしてそう言えるの?」
「なんとなくだ」
「はぁ……お前はそうやって言うけれど、話したのはほんとうに昨日が初めてだったんだ」
「その時、どういう状況だったか覚えてるか?」
「それは……」
たとえ忘れたくても忘れられないだろう。
僕は昨日の書店でのことを改めて詳細に話す。
和歌子が出てきただいたいの経緯は昨日ケーテで教えていたが、松野が自分から話しかけてきたことまでは言っていなかったので、その経緯を聞いて孝慈はニンマリと笑った。
「んん、尚更だな、そりゃ」
話を聞いた孝慈は持っていた本をくるくるさせながらテーブルの間を往復する。
「一度話しただけの奴、それもあの内気な松野が無理してまで話しかけるほどの相手なんて、そういないよ。
俺、あいつのこと良く知ってるから言えるんだけど、松野みたいな子って、好きな人とは近づくよりもむしろ、このままで良いからずっと見ていたい、ってタイプだと思うんだ。
恋してるやつのことを授業中にじっと見てるけど、いざ目が合いそうになるとサッとそらしちゃうって感じ?
自分の気持ちを相手に悟られたくないばかりに。あいつは奥ゆかしいとかいうレベルを通り越して、そこまで突き抜けててさ。
もう不器用中の不器用、キング・オブ・ザ・ブキヨーって感じで、逆に恋を応援したくなるじゃん?」
「こ、コージっ……」
むしろ、その言い方じゃあまるで、松野が好きなのは孝慈だって言うようなものだ。
だけど孝慈は自分じゃなくて僕の方だって考えて。
「コージ、お前は『そういうこと』にしたいんだな」
「だって、絶対好きだって、松野」
孝慈はキキッ、と笑う。何が好き、と明言しないところがちょっとニクい。
「加澤の考えてることも分かる。でも、松野は俺じゃないし、俺も松野じゃないよ。だから、あんま卑屈にならない方が良いぜ」
「どうしてそう言えるの?」
「なんとなくだ」
「はぁ……お前はそうやって言うけれど、話したのはほんとうに昨日が初めてだったんだ」
「その時、どういう状況だったか覚えてるか?」
「それは……」
たとえ忘れたくても忘れられないだろう。
僕は昨日の書店でのことを改めて詳細に話す。
和歌子が出てきただいたいの経緯は昨日ケーテで教えていたが、松野が自分から話しかけてきたことまでは言っていなかったので、その経緯を聞いて孝慈はニンマリと笑った。
「んん、尚更だな、そりゃ」
話を聞いた孝慈は持っていた本をくるくるさせながらテーブルの間を往復する。
「一度話しただけの奴、それもあの内気な松野が無理してまで話しかけるほどの相手なんて、そういないよ。
俺、あいつのこと良く知ってるから言えるんだけど、松野みたいな子って、好きな人とは近づくよりもむしろ、このままで良いからずっと見ていたい、ってタイプだと思うんだ。
恋してるやつのことを授業中にじっと見てるけど、いざ目が合いそうになるとサッとそらしちゃうって感じ?
自分の気持ちを相手に悟られたくないばかりに。あいつは奥ゆかしいとかいうレベルを通り越して、そこまで突き抜けててさ。
もう不器用中の不器用、キング・オブ・ザ・ブキヨーって感じで、逆に恋を応援したくなるじゃん?」
「こ、コージっ……」