*
言い終えて、僕は汗が吹き出しそうになった。抑えようとしていた鼓動が爆発しそうだった。自分の言った言葉を繰り返して、キザすぎじゃないか、身勝手な言い分じゃなかったか、まとまらない頭で何度も心配する。
それに、そうだ、他の女の子の話をするなんて、きっと当たり前すぎて告白のタブーのリストにも載ってないようなことだ。
だから、これはきっと、最高にカッコ悪い告白。
もしかしたら、世界一カッコ悪いのかもしれない。
けど、今は、これが僕にできる精一杯だ。
あとは彼女の手に委ねられる。
だけど、一つだけ。
僕は松野に言う。
「待って」
「え?」彼女の口がそのかたちに動いた。
「答えは、待ってほしいんだ。――ぜんぶ終わるまで」
「それは?」松野の口が無音で動いた。
「今のは、あくまでも、きみが好きだっていう表明だけだった。だから、この続きは、待って欲しいんだ。詳しく言うことはできないけど、僕にはまだ、やることが残ってるから」
「…………」
「待ってほしいんだ。だから、――ぜんぶ終わったら、その時に続きを言わせてほしい」
僕はそこまで一気に言い終わった。
すぐに松野は、メールを送信にはせず、その下書きのまま画面を見せてきた。
そこにはこう書かれていた。
『嬉しい』
松野は続ける。
『加澤くんを待つから。だから、今はそれ以上は答えないけど、これだけは言わせて。
わたしも、加澤くんが好き』
僕が答えるより先に、松野が何かを書き、その画面を見せた。
『行こう。孝慈くんと和歌子ちゃんが待ってる』
端末に打ち込まれた小さな文字には、たしかな希望が満ちていた。
言い終えて、僕は汗が吹き出しそうになった。抑えようとしていた鼓動が爆発しそうだった。自分の言った言葉を繰り返して、キザすぎじゃないか、身勝手な言い分じゃなかったか、まとまらない頭で何度も心配する。
それに、そうだ、他の女の子の話をするなんて、きっと当たり前すぎて告白のタブーのリストにも載ってないようなことだ。
だから、これはきっと、最高にカッコ悪い告白。
もしかしたら、世界一カッコ悪いのかもしれない。
けど、今は、これが僕にできる精一杯だ。
あとは彼女の手に委ねられる。
だけど、一つだけ。
僕は松野に言う。
「待って」
「え?」彼女の口がそのかたちに動いた。
「答えは、待ってほしいんだ。――ぜんぶ終わるまで」
「それは?」松野の口が無音で動いた。
「今のは、あくまでも、きみが好きだっていう表明だけだった。だから、この続きは、待って欲しいんだ。詳しく言うことはできないけど、僕にはまだ、やることが残ってるから」
「…………」
「待ってほしいんだ。だから、――ぜんぶ終わったら、その時に続きを言わせてほしい」
僕はそこまで一気に言い終わった。
すぐに松野は、メールを送信にはせず、その下書きのまま画面を見せてきた。
そこにはこう書かれていた。
『嬉しい』
松野は続ける。
『加澤くんを待つから。だから、今はそれ以上は答えないけど、これだけは言わせて。
わたしも、加澤くんが好き』
僕が答えるより先に、松野が何かを書き、その画面を見せた。
『行こう。孝慈くんと和歌子ちゃんが待ってる』
端末に打ち込まれた小さな文字には、たしかな希望が満ちていた。


