「…………」
「あなたが小屋に入ると、想定外の光景が広がっていました。うつ伏せで倒れる花園さんと、梁から落下した絵。
何が起きたのかを理解したあなたは、とっさに額縁を回収し、テーブルの間に挟みました。
その時にもたついたのでしょうか、あなたは小屋の入り口で、絵を持ったまま手間取っていた。
その際、額縁の絵は花園さんのほうに向いていた。そのタイミングで花園さんが、うつ伏せのまま首を伸ばして振り向き、釣り人の絵を殺人鬼と勘違いします。
そこで花園さんに意識があることに気づいたあなたは、慌てて小屋の入り口の電気を消しました。
花園さんは自分では、絵が頭に落ちた――殴られたのが原因で気絶したと言っていましたが、お酒の影響で再び眠りに落ちたのを、勘違いしたんだと思われます。五十嵐さんが電気を消すことで、目の前も真っ暗になりますからね。これが僕たちの推理です」
「――ちくしょう!!」
五十嵐さんはやけになったように額縁を地面に叩きつけ、叫ぶ。
「オレはただ、この絵を消し去ろうとしただけなんだ!
自分の描いたこいつには、自信があったよ。だが、花園のやつが……。
酔ってたとはいえ、釣人を、刃物を持ったマーダーに間違われるなんて!
アマチュアとはいえ、ひとりの画家として屈辱だったんだ!
……俺はもう、絵をこっそり燃やしてしまいたくなったんだ。……さぁ、これで良いだろ」
最後は消え入りそうな声になって、地面にガックリと膝をついた。
「あなたが小屋に入ると、想定外の光景が広がっていました。うつ伏せで倒れる花園さんと、梁から落下した絵。
何が起きたのかを理解したあなたは、とっさに額縁を回収し、テーブルの間に挟みました。
その時にもたついたのでしょうか、あなたは小屋の入り口で、絵を持ったまま手間取っていた。
その際、額縁の絵は花園さんのほうに向いていた。そのタイミングで花園さんが、うつ伏せのまま首を伸ばして振り向き、釣り人の絵を殺人鬼と勘違いします。
そこで花園さんに意識があることに気づいたあなたは、慌てて小屋の入り口の電気を消しました。
花園さんは自分では、絵が頭に落ちた――殴られたのが原因で気絶したと言っていましたが、お酒の影響で再び眠りに落ちたのを、勘違いしたんだと思われます。五十嵐さんが電気を消すことで、目の前も真っ暗になりますからね。これが僕たちの推理です」
「――ちくしょう!!」
五十嵐さんはやけになったように額縁を地面に叩きつけ、叫ぶ。
「オレはただ、この絵を消し去ろうとしただけなんだ!
自分の描いたこいつには、自信があったよ。だが、花園のやつが……。
酔ってたとはいえ、釣人を、刃物を持ったマーダーに間違われるなんて!
アマチュアとはいえ、ひとりの画家として屈辱だったんだ!
……俺はもう、絵をこっそり燃やしてしまいたくなったんだ。……さぁ、これで良いだろ」
最後は消え入りそうな声になって、地面にガックリと膝をついた。


