*
五分後には、スタッフ達が皆小屋の中に集まっていた。
「よし、これで全員だな」
と五十嵐さんが集まったスタッフの頭数を数えてから、
「虫が三匹ほど、混じっているようだがな」
と僕たちを横目で睨み付けた。
「四匹です。わたしは大丈夫ですが、皆さんがこの前みたいにつまみ出されるわけには……」と他の人達には聞こえないなりに和歌子がつぶやく。
「まぁ良いじゃん。この子らも加えて犯人探しだ」
と花園さんが入り口に積まれてあった折り畳みテーブルの束に腰かけて、足をぶらぶらさせる。
「犯人探し? なんかあったんすか」とスタッフの一人が首をかしげた。
「花園が誰かに殴られたらしいんだ」と五十嵐さんがため息をついて答える。
「殴られただと……!?」スタッフ達が動揺する。
「ああ。オレ、誰かに後ろから殴られて、そのまま頭がぼぅっとして気絶したんだ」
「なんだって……! じゃあ、どっかに殴った犯人がいるってことか!?」
「祭りに紛れてんなら、やばくないか?」
「落ち着け」五十嵐さんがざわめくスタッフ達を静めて、それから花園さんに聞く。
「殴られたとき、どういう状況だったんだ? そいつの特徴は? 顔とか」
「ああ。……じつは見たものがある」と花園さん。
「見たもの?」孝慈が聞く。
「何を――見たんだ」五十嵐さんが神妙な面持ちで聞いた。
花園さんが生唾を飲み下し、かすれた声で答える。
「――包丁を持った、殺人鬼だ」
「さ、殺人鬼!?」スタッフ達が再びざわめきだし、
「――ッ! なんだと!?」と五十嵐さんが突然大声を上げる。
小屋全体を震わすような大声に、スタッフ達一同、飛び上がって驚いた。
「……五十嵐さん? そんなに怒ってどうしたんすか」花園さんがぽかんとする。
五十嵐さんは咳払いすると、首を横に振って答える。
「……いいや。ただ、今花園が言ったことが本当なら、祭りに危険人物が潜んでるかもしれないってことだ。大変なことだぞ」
――今の五十嵐さんのようす、明らかにおかしかった。
僕たちはスタッフ達の後ろで、こっそり目で合図を送りあう。
……五十嵐さん、怪しくないかな? ――怪しいですね。
五分後には、スタッフ達が皆小屋の中に集まっていた。
「よし、これで全員だな」
と五十嵐さんが集まったスタッフの頭数を数えてから、
「虫が三匹ほど、混じっているようだがな」
と僕たちを横目で睨み付けた。
「四匹です。わたしは大丈夫ですが、皆さんがこの前みたいにつまみ出されるわけには……」と他の人達には聞こえないなりに和歌子がつぶやく。
「まぁ良いじゃん。この子らも加えて犯人探しだ」
と花園さんが入り口に積まれてあった折り畳みテーブルの束に腰かけて、足をぶらぶらさせる。
「犯人探し? なんかあったんすか」とスタッフの一人が首をかしげた。
「花園が誰かに殴られたらしいんだ」と五十嵐さんがため息をついて答える。
「殴られただと……!?」スタッフ達が動揺する。
「ああ。オレ、誰かに後ろから殴られて、そのまま頭がぼぅっとして気絶したんだ」
「なんだって……! じゃあ、どっかに殴った犯人がいるってことか!?」
「祭りに紛れてんなら、やばくないか?」
「落ち着け」五十嵐さんがざわめくスタッフ達を静めて、それから花園さんに聞く。
「殴られたとき、どういう状況だったんだ? そいつの特徴は? 顔とか」
「ああ。……じつは見たものがある」と花園さん。
「見たもの?」孝慈が聞く。
「何を――見たんだ」五十嵐さんが神妙な面持ちで聞いた。
花園さんが生唾を飲み下し、かすれた声で答える。
「――包丁を持った、殺人鬼だ」
「さ、殺人鬼!?」スタッフ達が再びざわめきだし、
「――ッ! なんだと!?」と五十嵐さんが突然大声を上げる。
小屋全体を震わすような大声に、スタッフ達一同、飛び上がって驚いた。
「……五十嵐さん? そんなに怒ってどうしたんすか」花園さんがぽかんとする。
五十嵐さんは咳払いすると、首を横に振って答える。
「……いいや。ただ、今花園が言ったことが本当なら、祭りに危険人物が潜んでるかもしれないってことだ。大変なことだぞ」
――今の五十嵐さんのようす、明らかにおかしかった。
僕たちはスタッフ達の後ろで、こっそり目で合図を送りあう。
……五十嵐さん、怪しくないかな? ――怪しいですね。


