じつは俺かもよ、と孝慈はふははっと笑った。
「話を戻すけど、花園さんの未来写真に、五十嵐さんが関わってくる可能性はめっちゃ高いよな」
「うん。今の時点で、普通に五十嵐さんを一番疑うよね」
「ああ。花園さんをどうにかする理由があの人にはあるから」
「だね。あまり考えたくなかったことだけど、今回の未来写真は、スタッフ達の一触即発の関係性からして、事件に発展する可能性が高い。
 例えばあの未来写真は、五十嵐さんが花園さんと揉めた結果、そのまま小屋に閉じ込めたものだった……、っていうこともあり得るんだし」
「それで、当日は五十嵐さんの動きを特に警戒するってわけか」
「もちろん、花園さんとホオズキさんもね」
 僕が注目したのは、重要そうなその三人だった。
 スタッフの間で争いが起きて、それがあの未来写真で、花園さんが閉じ込められることにつながる。この三人をめぐるものではないかと。そう考えていた。
 確認を終えて、孝慈はふうっと息を吐く。
「――これで、ほんとうに最後なんだよな……いや、松野の未来写真もある、か」
 僕は手帳のページを改めて見直す。
「ぜんぶ、解決してみせる。無理なんかじゃない」
 そうつぶやき、自分に発破をかける。
「加澤?」
「あ、ああ。なんでもない……!」
 僕は手帳を慌ててもとのページに戻す。
 孝慈が僕の手帳をのぞきこんで驚いたように言う。
「スタッフ達の人間関係を……。これ、こうやってお前がぜんぶまとめてたのか」
「和歌子ちゃんに偵察してもらった情報もあるけどね。聞き込みと組み合わせて、やっとまとめられたんだよ。彼女のおかげで、スタッフの関係性を正確に知れた」
「ああ。そういや和歌子、さっき『やっとお役に立てたみたいです』って言ってすげぇ嬉しそうだった」
「へぇ、そうなんだ」
 祭りの事件は、こんなところだろうか。問題は、松野の未来写真だ。
 松野が僕に背を向けて去っていくあの写真。
この前、和歌子が言いかけて消えた通り、僕と松野がケンカしてしまう、
 それも、未来写真に写るような性質のもの。
 例えば、なにか松野が、開きかけた心を完全に閉ざしてしまうような、そんな、取り返しのつかないような――。
 心当たりと言えば、鈴夏のことくらいだ。