四枚目の葉っぱを集めるために、絶対に解決したい祭りスタッフの未来写真。そして、その直後、撮れてしまったもう一枚の未来写真。
 それから一週間、他の被写体探しとは別に、僕は祭りスタッフ花園さんの未来写真のため、準備中の祭り会場で調査をしてまわった。
 調べたのは主に、スタッフ達の人間関係だった。
 なるべくあの番犬のような五十嵐さんに見つからないように、こっそりと。
 僕が聞き込みをすると、町内会の祭り実行委員会内の対立、というデリケートな話題にも関わらず、スタッフの人たちは意外にも快く答えてくれた。むしろ話したくて仕方がないといったようすだった。
 彼らが言うには、祭りスタッフ達の間で面白いことが起こっているらしい。
 聞き込みを終え、僕は自分の手帳に最後のまとめを書き込む。
 そうして迎えた、夏祭り前夜。
 和歌子が日没で学校に戻り、松野が帰った後も、僕と孝慈は夜の歌扇野公園で明日の動きを何度も確認していた。
 僕は手帳にまとめた成果を孝慈に話す。
「この前写真をとった時に、花園さんと言い争ってた男性が、あの五十嵐さんだ。五十嵐さんは町内会の夏祭り実行委員会のリーダー」
「ああ。なんか偉そうだったもんなぁ、あの人。……なんでだろ?」
「うん。なぜなら、彼の家は地元の名士だからね。一族は経営する歌扇野の会社を通して、夏祭りに多額の出資をしてる。しかも五十嵐さんは、五十嵐家の後継者なんだって」
「発言権があるってやつね……五十嵐の気分次第で今後の祭りが良くも悪くもなるかもだから、スタッフの人たちはそれを恐れてるわけか」
「その通り。それから、ホオズキと呼ばれていた、つかみどころの無さそうな赤髪のスタッフ。彼は画家をしていて、歌扇野で活動しているとのことだった。全国的にもけっこう有名人みたい。ちなみにホオズキさんの本名は馬場というらしい」
 ホオズキさんは細身で童顔、三十代というのにそうは見えなく、画家というよりはバンドで高い声のボーカルでもやっていそうな人。
 何より目を引くのは、真っ赤に染めた髪の毛だろう。ホオズキさんは絵飾りに自分が関わっていることを否定しているらしい。
 歌扇野の夏祭りには、毎年ナゾの絵が飾られる。
 それが、この前会場で言い争っていたスタッフたちが囲んでいた額縁の山だった。