僕の意図を汲んだのか、和歌子が言う。
「注目されるという意味でなら、絵じたいも特集が組まれてテレビに映りましたし、うまくいったと思います。
夏祭りの話題づくりにもなっていて好評らしいですよ、この絵飾り。
ただ、先ほどの怒っていた方――五十嵐さんのように、快く思わない人も少数ですがいるようで」
「なるほど。それであの花園さんは賛成。五十嵐さんは気味が悪いから反対ってわけか」
孝慈は納得したらしい。
「それで、目的の写真は撮れたのか?」
すっかり絵飾りの話が長くなってしまったが、未来写真を見なければ。
「バッチリです。未来写真はこんな感じになりました」
僕は和歌子が撮影した未来写真をのぞきこむ。
その未来写真は、どこかの部屋の中で、さっきの野球帽をかぶった花園さんがドアから出ようと必死になっている写真だった。
入り口のドアノブが開かないのだろうか。花園さんはドアノブにタオルを巻いて、ちからいっぱいねじってこじ開けようとしている。
僕は右下の日付と時間に目をやる。
「この写真って、時間的に日没のときだよね」
十八時四十分。微妙だが、日が沈む直前直後のどちらかだ。
「そのようだが?」
一度聞いたあとで、孝慈ははっとしたようだ。
「……って、そうか! 夏祭りの日没で和歌子の期限は終わりなんだ」
「うん。だから、この未来写真に限っては、不幸が起きる時間の前に、解決しなきゃならない。今までみたいな時間ギリギリでの解決は、絶対に避けたいんだ」
それから、孝慈が写真を見てなにかに気づく。
「えっ、ここ、さっきの小屋じゃね」
「ほんとだ。じゅうたんの色がこうだったね」
未来写真は、いまスタッフ達が言い争っていたのと同じ場所のようだった。
「松野は未来写真で気になる箇所はあった?」
聞いてから、彼女はいま声が出せないことに気づく。
「あ、ごめん……」とっさに謝る。
松野は首を横に振ると、スマホを取り出してメールアプリの画面を操作した。
『わたしこそ、迷惑かけちゃってごめん。まだ気づいたことはないんだ』
松野とはメールで会話することになった。
『これって、花園さんがさっきの小屋の中に閉じ込められてるってことだよね』
「だね……誰かに」
「この時点で疑ってしまうのも良くないんでしょうが、普通に考えたら、立場的に、花園さんと対立してる五十嵐さんが怪しい、ということになりますかね?」
和歌子の意見には、僕も賛成だった。
「よし、スタッフ達の偵察は和歌子ちゃんに頼むよ」
「はい!」
「特に、五十嵐さんを中心にね。祭りまでまだ一週間あるし、まずはあの人達の人間関係を調べたいんだ」
「注目されるという意味でなら、絵じたいも特集が組まれてテレビに映りましたし、うまくいったと思います。
夏祭りの話題づくりにもなっていて好評らしいですよ、この絵飾り。
ただ、先ほどの怒っていた方――五十嵐さんのように、快く思わない人も少数ですがいるようで」
「なるほど。それであの花園さんは賛成。五十嵐さんは気味が悪いから反対ってわけか」
孝慈は納得したらしい。
「それで、目的の写真は撮れたのか?」
すっかり絵飾りの話が長くなってしまったが、未来写真を見なければ。
「バッチリです。未来写真はこんな感じになりました」
僕は和歌子が撮影した未来写真をのぞきこむ。
その未来写真は、どこかの部屋の中で、さっきの野球帽をかぶった花園さんがドアから出ようと必死になっている写真だった。
入り口のドアノブが開かないのだろうか。花園さんはドアノブにタオルを巻いて、ちからいっぱいねじってこじ開けようとしている。
僕は右下の日付と時間に目をやる。
「この写真って、時間的に日没のときだよね」
十八時四十分。微妙だが、日が沈む直前直後のどちらかだ。
「そのようだが?」
一度聞いたあとで、孝慈ははっとしたようだ。
「……って、そうか! 夏祭りの日没で和歌子の期限は終わりなんだ」
「うん。だから、この未来写真に限っては、不幸が起きる時間の前に、解決しなきゃならない。今までみたいな時間ギリギリでの解決は、絶対に避けたいんだ」
それから、孝慈が写真を見てなにかに気づく。
「えっ、ここ、さっきの小屋じゃね」
「ほんとだ。じゅうたんの色がこうだったね」
未来写真は、いまスタッフ達が言い争っていたのと同じ場所のようだった。
「松野は未来写真で気になる箇所はあった?」
聞いてから、彼女はいま声が出せないことに気づく。
「あ、ごめん……」とっさに謝る。
松野は首を横に振ると、スマホを取り出してメールアプリの画面を操作した。
『わたしこそ、迷惑かけちゃってごめん。まだ気づいたことはないんだ』
松野とはメールで会話することになった。
『これって、花園さんがさっきの小屋の中に閉じ込められてるってことだよね』
「だね……誰かに」
「この時点で疑ってしまうのも良くないんでしょうが、普通に考えたら、立場的に、花園さんと対立してる五十嵐さんが怪しい、ということになりますかね?」
和歌子の意見には、僕も賛成だった。
「よし、スタッフ達の偵察は和歌子ちゃんに頼むよ」
「はい!」
「特に、五十嵐さんを中心にね。祭りまでまだ一週間あるし、まずはあの人達の人間関係を調べたいんだ」


