松野は首をかしげている。僕はマトイ書店で突然現れた和歌子のことを説明しようとする。
「この子が、松野が危ないって教えてくれたんだ」
「間に合って良かったです」
「???」
僕はいつの間にか横にいた和歌子を手で示したが、松野はよくわかっていないようだ。
「ああ。意味が分からないよね。突然現れたかと思えば、写真を渡されてね。とにかく、君のおかげだよ。ありがとう」
「いえいえ! 瑞夏さんの不幸が見えたのは本当にたまたまですけどね」
やや得意そうに、謎めいたことを言う和歌子。僕は頭の中の疑問を整理しながら訊ねる。
「さっきは『松野が車に跳ねられる』っていう未来を予測した――。和歌子ちゃん、君は何者なんだ? たしか、高校の座敷わらしだと言っていたけど。それに――」
「……さっきから誰と話しているの? そんな写真、いつ……」
松野が僕を見て怪訝そうな顔をしている。
「――きみはこの通り、松野には見えてない。いや、もしかしたら他の人にも。これはどういうことなんだ?」
「とりあえず、最後の質問にだけお答えしますね」
僕が聞くと、和歌子はそう言って松野の隣に並んだ。そして一瞬の後。
「ひゃっ!?」
松野が調子外れな声を上げていた。
見ると、和歌子が松野に抱きついている。
「……えっ!? ええっ!? ちょっ……ええっ!?」
松野は突然その場に現れた和歌子に抱きすくめられて、困惑した声音で固まっていた。松野にも見えるようになったらしい。
「瑞夏さんのほうが面白いリアクションをされるんですね! 結人さんに抱きついた時はほとんど無反応だったのに」
「……え? 加澤くん……? 抱きついた……!?」
和歌子の言葉に、松野がなぜか反応する。そんな松野に抱きついたまま、和歌子は僕に説明する。
「ご覧の通り、わたしは他の人に抱きつくことで、その人に見えるようになります」
松野が和歌子の腕を振りほどきながらつぶやく。
「……びっくりした」
彼女たちを見ながら、僕はふと、和歌子の頭上に再び光が差していたことに気づいた。
「この子が、松野が危ないって教えてくれたんだ」
「間に合って良かったです」
「???」
僕はいつの間にか横にいた和歌子を手で示したが、松野はよくわかっていないようだ。
「ああ。意味が分からないよね。突然現れたかと思えば、写真を渡されてね。とにかく、君のおかげだよ。ありがとう」
「いえいえ! 瑞夏さんの不幸が見えたのは本当にたまたまですけどね」
やや得意そうに、謎めいたことを言う和歌子。僕は頭の中の疑問を整理しながら訊ねる。
「さっきは『松野が車に跳ねられる』っていう未来を予測した――。和歌子ちゃん、君は何者なんだ? たしか、高校の座敷わらしだと言っていたけど。それに――」
「……さっきから誰と話しているの? そんな写真、いつ……」
松野が僕を見て怪訝そうな顔をしている。
「――きみはこの通り、松野には見えてない。いや、もしかしたら他の人にも。これはどういうことなんだ?」
「とりあえず、最後の質問にだけお答えしますね」
僕が聞くと、和歌子はそう言って松野の隣に並んだ。そして一瞬の後。
「ひゃっ!?」
松野が調子外れな声を上げていた。
見ると、和歌子が松野に抱きついている。
「……えっ!? ええっ!? ちょっ……ええっ!?」
松野は突然その場に現れた和歌子に抱きすくめられて、困惑した声音で固まっていた。松野にも見えるようになったらしい。
「瑞夏さんのほうが面白いリアクションをされるんですね! 結人さんに抱きついた時はほとんど無反応だったのに」
「……え? 加澤くん……? 抱きついた……!?」
和歌子の言葉に、松野がなぜか反応する。そんな松野に抱きついたまま、和歌子は僕に説明する。
「ご覧の通り、わたしは他の人に抱きつくことで、その人に見えるようになります」
松野が和歌子の腕を振りほどきながらつぶやく。
「……びっくりした」
彼女たちを見ながら、僕はふと、和歌子の頭上に再び光が差していたことに気づいた。