「……鈴夏、なぜ……?」
読み終えて一番に、ひとりでに漏れた声。
星野鈴夏が最後に残していた手紙。初めて読む、彼女の最後の言葉。
懐かしくて、切なくて、悲しい。
だけど、僕はこの手紙が今ここに存在する意味を、理解できないでいた。
なぜ、松野がこの手紙を、サイコロを持っていた?
冒頭で書かれていた、鈴夏の家庭の事情?
なぜ、松野の名前が?
様々な疑問が頭の中で渦を巻いていた。
切なさよりも強い、どうして?という気持ち。
僕は目の前に立つ松野瑞夏に質問を投げ掛けた。
「どうして、君がこの手紙を……?」
「…………わたしは」
松野は苦しそうに地面に膝を付くと、自分ののどを親指でぐりぐりと押さえつけた。
「瑞夏さん、ちょっと!」
その行動に、和歌子が慌てたように駆け寄った。
「松野……?」
孝慈が不安そうに呼び掛けると、松野は携帯を取り出した。そして、メールの画面を開いて、文字を入力していく。
『この先は、絶対に自分の声で言いたかったのに』
松野は一瞬書いたその文字列を消すと、もう一言、簡潔に書き記した。
『声が出ない』
――声が出ない。
その言葉で気づいた。彼女は苦しくて喉を押さえているのではなく、声を絞り出すために喉笛を必死に揉みほぐしているということに。
――なぜ、松野が、この八面ダイスを?
疑問は再び頭を駆けつづけ、僕の鈍い頭はようやく、一つの可能性にたどり着いた。
――松野瑞夏は、星野鈴夏の、『大切な友達』だったのか……?
読み終えて一番に、ひとりでに漏れた声。
星野鈴夏が最後に残していた手紙。初めて読む、彼女の最後の言葉。
懐かしくて、切なくて、悲しい。
だけど、僕はこの手紙が今ここに存在する意味を、理解できないでいた。
なぜ、松野がこの手紙を、サイコロを持っていた?
冒頭で書かれていた、鈴夏の家庭の事情?
なぜ、松野の名前が?
様々な疑問が頭の中で渦を巻いていた。
切なさよりも強い、どうして?という気持ち。
僕は目の前に立つ松野瑞夏に質問を投げ掛けた。
「どうして、君がこの手紙を……?」
「…………わたしは」
松野は苦しそうに地面に膝を付くと、自分ののどを親指でぐりぐりと押さえつけた。
「瑞夏さん、ちょっと!」
その行動に、和歌子が慌てたように駆け寄った。
「松野……?」
孝慈が不安そうに呼び掛けると、松野は携帯を取り出した。そして、メールの画面を開いて、文字を入力していく。
『この先は、絶対に自分の声で言いたかったのに』
松野は一瞬書いたその文字列を消すと、もう一言、簡潔に書き記した。
『声が出ない』
――声が出ない。
その言葉で気づいた。彼女は苦しくて喉を押さえているのではなく、声を絞り出すために喉笛を必死に揉みほぐしているということに。
――なぜ、松野が、この八面ダイスを?
疑問は再び頭を駆けつづけ、僕の鈍い頭はようやく、一つの可能性にたどり着いた。
――松野瑞夏は、星野鈴夏の、『大切な友達』だったのか……?