目を開けると、見えたのはさながら仮面○イダーの様にキックを放っている女性、と、その女性のスカートと、その、中のピンクフラワーな下着!
見事に蹴りが決まり、私とレイの間に颯爽と現れた彼女は、ああ、見間違えることのない。その姫らしく、可憐で、花蓮で、花恋で、火憐かつ香恋なお嬢様。姫の中の姫。見事なツインカールテールとその笑み。
我が部長姫川桃子様である。
「まったく何してんのよ、ヘイ。あなた秘密結社同好会なら必殺技の一つぐらい持っておきなさい!」
「姫様!」
私にとって驚きであり、同時に喜びで、そして何より泣いていた。声は出さずに、静かに。なぜだろう。なぜかすごく長い時間この時を待っていた気がする。何度も何度も、この時を望んでいた気がする。
「さて、と。ヘイの言葉が正しければ、必要なのは私ともう一人らしいわね。さぁそれ、行きなさい!」
姫様が何か取り出したかと思うと、そこからまた一人女性が現れて、そしてそのままレイを押し倒した。
物理的に。
そしてもう一度押し倒した。
比喩的に。
……ノイズ……
比喩的に。
「さて、次はヘイの出番よ!」
「えっ……な、何をーー」
言葉終わらぬままに私は吸い込まれた。何に? わからない。光か、空間か、はたまたインチキなマジックか、神の奇蹟か。いずれでもないかもしれないし、どれかが正解かもしれない。分かっているのは、姫様が手にしていた“”モノ“”が関係しているということ。ただ、それだけを忘れないようにして私は旅立った。
「ヘイならできる。なんてったって、このルートが今ここに存在するんですもの。それが何よりの証拠よ。さあ、頑張って頂戴。そして、ーー必ず帰ってきて、ヨウヘイ」
……ノイズ……
「さて、と。ヘイの言葉が正しければ、必要なのは私ともう一人らしいわね。さぁそれ、行きなさい!」
姫様が何か取り出したかと思うと、そこからまた一人女性が現れて、そしてそのままレイを押し倒した。
物理的に。
そしてもう一度押し倒した。
その艷やかで、母性的でありながら少女のようなキスはエデン・レイの瞳を変えた。しばらくは何をされたのかわからないようであった。
戸惑い。
困憊。
揺れて、揺れ、揺れ動く。
「いったい、何を……」
「私はあまり詳しくないの。普通の恋をしたい乙女だし? ヘイなら詳しいんじゃないかしら、《《そういうの》》」
姫様の石が再び光を放ち、輝き出す。
宙に放り出された《《それ》》から黒川要黒は戻ってきた。
「ーーそうですね。多少嗜んでいます故に、理解はあります」
「おかえりなさい」
「ただいまです」
「ーーなっ、なにが」
「久しいな、エデン・レイ。いや、今の時間軸だと会うのは二回目か」
「なんだ、この女は!?」
「夢野根底。前世からの仕え姫さ」
もういちどだ、ユメ。
はい、ヘイ様。
今度恐怖するのはレイの番であった。