いや、まだ初日。何週間したら仲良く話せるはずだと心の中のモヤモヤを隠して何事もなかったようにした。

 それから、帰り際になると、品川先生からこの一週間で部活動を見学するようにして下さいと言われた。

 部活か。考えなくちゃいけないのに、今は何も考えたくないなあ。はあー、ため息が出る。

 帰りの会が終わると、私は今野琳の元へ行き、話しかけた。

「部活動何するか決まった?」

 私は今野琳に首を傾げて、聞いた。

「中学はバドミントン部だから、それに入ろうと思って。さっきの子達もバドミントン入るらしいよ。宙ちゃんは入る?」

 今野琳はうん? と私を見て、首を傾げて聞いてきた。

「……うーん、考えておくよ」

 私は一回間を置いて、答えた。中学時代は、何の部活にも入っていなかったからだ。

 心の中では、無理だと叫んでいた。

「じゃあ、また明日」

 今野琳は鞄を肩にかけて、私に手を振って教室から出ていった。

「…明日」

 私は立ったまま、今野琳に手を振って声を発した。

 バドミントン部か。やったことないんだよな。

 運動系はあまり得意じゃないから、やりたくないんだよな。

 どうしよう。私は文化系の部活にしようと考えていた。

 だけど、クラスメイトと仲良くなるために一緒の方が仲良くなれるかもしれないけど…

 やりたくないのは無理にしたくない。
 
私は心の中に沈んだイカダが身体に染み渡っていくようだ。

ふぅーと息を吐いて出してを繰り返して、私は教室に出た。

 外は目が開かないくらいの風の強さで、私はなんとか歩こうと足を踏み出して、家に帰った。

「ただいま」

 私は誰もいない家の中に一人で言って、靴を脱いだ。

 洗面所で手洗いをして、うがいを行った。行うと、目の前にある鏡で自分の顔を見た。

 まだ十代でピチピチな顔だけど、なんだか浮かない顔をしていた。