「あれは!?」


司の声が驚きでひっくり返った。


「クラスメートたちだよ。みんな、1度は司に自己紹介しに病室に来た子たち」


その数は20人を超えている。
司は唖然と目を見開いて言葉を失ってしまったようだ。


「あれが全員司の友達だよ」

「僕の……友達」

「そうだよ。だから孤独を感じたときにいつでも誰にでも連絡を入れていいんだよ。もう、風に声を乗せる必用はないんだよ」


司の声はみんなに届けることができる。
声をかければ、返事がもらえる。

司の目に一瞬光るものが見えたけれど、それはすぐに拭い取られて消えてしまった。
今のは嬉し涙だよね?

聞くのも不躾な気がして、私は黙って微笑んだ。
徐々に屋敷が近づいてきて、みんなの笑顔が出迎えてくれる。


「こんなに歓迎してくれるなんて、いいですねぇ」


運転手さんがのんびりとした口調で言ったのだった。