喋る黒猫とうそつきの麦わら

青春・恋愛

香澄 翔/著
喋る黒猫とうそつきの麦わら
作品番号
1703090
最終更新
2023/08/17
総文字数
112,169
ページ数
41ページ
ステータス
完結
いいね数
5
「たぶんこの夏が最後だから」

 静かな声でかなたはつぶやく。
 あかねも、かなたも、どこか遠い目をしてそう告げていた。

 最後の夏。
 何が最後になるのかもわからないまま。ただ僕は空を見上げていた。
 夏の照りつけるような日差しが、僕を見ていた。

 のどかな夏の風景。ひまわりが揺れている。

 どこからか射し込むさびしげな声は、ただ優しいうそに包まれていた――

※表紙イラストはテンさまからいただいたファンアートをいれています。
あらすじ
高校には行かずに旅を続ける謙人は、旅先で喋る黒猫をつれた不思議な少女ありすと出会う。
ありすは謙人を「春渡し」なる村の祭りに誘い、謙人は祭りに参加するために村へと訪れる。

村の皆は声をそろえて「最後の夏だから」と寂しそうに告げる。
何が最後なのかもわからないまま、謙人は春渡しの日を迎えていた。

謙人は村の、そしてありすの秘密を知っていく――
うそつきの麦わらのついた、たった一つのうその秘密を

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