「なっ……待ちなさいよ!」

「ちょっと! 真実!」

私は苛立った久美と香織の声を背に、猛スピードで屋上の階段を登っていき、途中の非常階段へ続く扉に身を隠した。

そして息をひそめて、久美達がやってくるのを心を躍らせて待つ。


──「……はぁっ……どこ行った?」

「ふざけんな!……真実ででこい!」

(あと少し……)

二人の足音がすぐそこまで聞こえてきたのを確認して、私は一気に扉を開けた。そしてこれでもかと大きな声を上げた。

「ばあっ!!」

私の声に久美と香織の身体がビクンッと震えた。

「っ……きゃあっ!!」

「ぎゃっ!!」

久美と香織が目を見開くと、驚きのあまり二人の身体が後ろへと傾いた。

私は、さっきの理子と同じように、ぐっと二人の肩を押してあげる。


ガタガタガタッ──ドサッ!!

すぐに威勢の良かった二人の首は、おかしな方向に曲がり、手足はだらんと投げ出されピクリとも動かなくなった。

「あら? 鬼ごっこ、もうおしまい?」

私は久美と香織を見下ろしながら、大声で笑ってしまいそうな口元を押さえた。

そしてすぐに頭の中から、《《もう一人の私の声》》が聞こえてくる。