私と千草くんは、
もともと、ただの幼なじみ。



それ以上でも、それ以下でもない関係。



でも、私はね、
千草くんのことを幼なじみ以上に思ってて。



本当は、私が事故に遭ったあの日。



千草くんに伝えたかったの..................



〝好き〟って言葉を。



でも、もう今は伝えられないから.........



「(千草くん、すき......だったよ、)」



過去形にして〝好き〟を伝えた。



「ん。知ってた。つか、俺も.........、
俺もさ、〝好き〟だったよ、」



人間と幽霊。



住む世界が変わってしまって。



過去形にしか伝え合えなかったけど。



──────真夏の真ん中で、



私たちは、言えなかった気持ちを、
確かに〝想いを伝え合った〟



(千草くん、バイバイ、)



私が最後に残した言葉は、
もう、千草くんには聞こえなくなっていた。



それは、〝好き〟を伝えて、
私の後悔がなくなったから........................





fin.