『今日も一日お疲れさまでした✨
 ミウたんもめちゃ疲れたぁ⤵⤵
 みなさんがすてきな夢を見れますように★
 おやすみなさぁい💗』

 そんな他愛もない内容をつぶやいた途端、ほんの数秒でその投稿にいいねが押されていく。数分後にはいくつものコメントに100を超えるいいねの数。どんどん増えていくインプレッション数。

 コメント欄には『優しい~!ミウたんも良い夢見てね』『ミウたんもおつかれさま!』『ミウたん大好き』など熱のこもったメッセージが送られていた。

 私はとりあえず、先についたコメントから順番にせっせと返事をしていった。
 投稿や返信がなかったり遅れたりすると、フォロワーさんたちが心配しちゃうからね。定期のつぶやきはもちろん、それ以外にも毎日投稿は欠かさない。

『ミウたんリプ速いのは嬉しいけど、無理しないでね』

 一番に返したフォロワーから秒で来た返信に私は思わず笑みがこぼれる。
 返信なくてもあっても結局心配してくれるんだもん。

「みんなミウたんのこと好きすぎでしょ」

 ミウたんは、私のアカウント名だ。
 本名の鳥海(とりうみ)から海をとって、それを反対から読んで「みう」。たったそれだけのアカウント名だけれど、結構気に入っている。

 フォロワーさんたちも「ミウたん」って呼んでくれるし、私も自分のことをミウたんと呼んでいる。

 このアカウントでは、同じ女子高生からも、JK好き男子からも好まれるような現役女子高生の日常を投下していた。なんてことのないつぶやきから、ちょっと映えるものも取り入れて。
 もともとお洒落には余念がない私は、ネイルやヘアスタイル、ファッションにはいつも気を使っている。顔出しこそしてないけど、後姿や服装をアップすることもよくあった。だから、JK好きのおっさんぽい人もいるけど、イマドキのちょっとお洒落なJKの投稿を参考にしたり、憧れたりしてフォローしてくれる子もいる。

 フォロワー数は6千人を超えた。万アカまではまだまだ遠いけど、6千人だって十分すごいでしょ。クラスメイトなんか友だちしかフォロワー居ない子なんてざらだし、多くて数百人ってとこだもん。

 まぁ、このアカは誰にも秘密だからリア友には自慢できないのが難点だけど。いつかもっと人気になってリア友との間で「ミウたん」の話題が出た時には「それ、実はあたしなんだ~」ってカミングアウトするのもアリだよねーって密かに思ってる。

「ふふふ」

 その時のリア友たちの顔を想像しただけで顔がにやけちゃう。

 そんな妄想を繰り広げている間にも、リアクションが増えていた。
 手の中の小さな四角いスクリーンの向こう、実体のない世界にいる自分へと注がれているであろう羨望のまなざしを想像して、私はうっとりとため息を吐いた。







(試し読みは以上となります。続きは書籍「#今夜全てを告白します」でお楽しみいただければ幸いです……!)