悲鳴は家に近づくにつれ大きくなった。

声は私の部屋からではなく一回の角部屋たま爺の家から聞こえた。


飛び込むように部屋へ入った。靴を脱ぐのももどかしい。


耳を塞ぎたくなるような苦しさを堪える悲鳴は部屋中に響いていた。

廊下に神具のダンボールを置いて居間へ駆け込む。


「痛いよな! 辛いな! 頑張れ慶賀、もうすぐだからな!」


痛みをこらえるためにきつく閉じた瞼からはボロボロと大粒の涙が絶え間なく流れ落ち、痛みから逃れようと暴れる四肢は泰紀くんと玉じいがきつく押さえつけた。

口にはタオルをくわえ、それでも歯の隙間からは悲痛な叫び声が漏れていた。


想像を絶する光景に思わず後ずさった。

カタンと障子に踵が当たって音が鳴ると、泰紀くんがはっと顔を上げた。


「手伝え嘉正、来光ッ!」


両頬を打たれたようにハッと我に帰ったふたりは慌てて横たわる慶賀くんの体を抑える。

ふたりが体に触れた瞬間、まるで火に炙られた鉄棒を押し付けられたかと思うほどの絶叫が部屋中に響く。