「巫寿? どうしたの?」
固まったままの私を心配するように嘉正くんが顔を覗き込んだ。
「おばあちゃんが、今」
「おばあちゃん? なんの事?」
「え……皆は、見えてないの?」
他のふたりも、なんの事?と怪訝な顔をする。
今の光は私にしか見えていなかったんだ。
「おばあちゃんが祝詞を奏上している時、とても優しい風が吹いて、おばあちゃんの周りにあたたかい光が集まって……巫女装束を着たおばあちゃんが見えたの」
「私が……巫女装束を?」
おばあちゃんは驚いたように目を瞬かせた。
まるでそれが当たり前かのように巫女装束を着たおばあちゃんには違和感がなかった。
寧ろその姿が本来の姿のように、あるべき場所へ戻ったような心地さえした。
もしそう感じたのが私の思い違いでなければ────。
「おばあちゃんは……どこかのお社の巫女さまですか?」