「怪奇現象にばかり目が言って他の可能性に気がつけなかった。そのせいで恵理ちゃんや家族を危険に晒してしまった。……本当にごめんなさい」
来光君が深々と頭を下げる。それに続いて私達も頭を下げれば「やだ頭上げてよ」と恵理ちゃんは困ったように両手を顔の前でぶんぶんと振った。
「解決は出来ていないけど、原因は分かったんだよね? それだけでも大進歩だよ! みんな本当にありがとう。怪我した二人にもお礼言わなくちゃね」
恵理ちゃんは困ったように笑って肩をすくめる。
思い出したように頬の痛みを感じ、そのお礼の言葉を素直に受け取ることが出来なかった。
膝の上でギュッと手を握りしめて、口を開く。
「恵理ちゃん、神棚に手を合わせてもいい……?」
「もちろんだよ。今の時間なら、おばあちゃんがお経────じゃなかった、ノリトを唱えてるかも」
こっち、と案内されて私たちは居間に入った。