「でも……どうして神様が、あんなことを?」


確かにそうだ。

私たちを見守り導く存在である神が、何故あんなことをしたんだろう。


「ごめん、その可能性もない訳では無いのに、妖か憑き物だと決めつけてた」

「その可能性……?」

「神が災いをもたらす時もあるということだよ」


恵理ちゃんは怯えたように息を飲んだ。

神が災いをもたらす……?


「でも……神様って私たちの味方なんだよね? なのになんで、ウチに災いをもたらそうとしたの?」

「願いを叶えてくれる存在という印象が味方だと思わせがちなんだけど、神は誰の味方でもないんだ。確かに俺たちの声を聞き入れてはくれるけど、何でもかんでも聞いてくれる訳じゃない。その人が正しい道を歩めるように導いているだけなんだ。だから、もし道を違えた場合、神はその間違いを正そうと俺たちにメッセージを送る」


あ、と声をあげれば嘉正くんは「その通りだよ」と一つ頷いた。


それなら全ての説明がつく。

神様が私たちにメッセージを送る方法が、今回の怪奇現象のような方法なんだ。