終始無言で片付けを済ませた私たちは、おばさんのご好意で冷たい麦茶を貰った。
火照った頬に心地よく、でも心は少しもスッキリしなかった。
恵理ちゃんの部屋で丸テーブルを囲う私たちの空気はお通夜のように重い。
「あの……こんな時に本当にごめん。さっきのは、上手くいったの?」
重い沈黙を破ったのは恵理ちゃんだった。遠慮がちにそう尋ねる。
私たちは顔を見合わせると「分からない」と小さく首を振る。
「でも何かが起きてたんだよね……? 私はよく見えなかったんだけど、皆には何が見えていたの?」
「……説明した通り、俺たちはこの家に「オーサキ」って憑き物が憑いていて、それが悪さをしていると思ってたんだ」
「オーサキじゃなかったの?」
嘉正くんがちらりと私に視線を向ける。
うん、と力なく頷いた。
「間違いなくあの気配は……神様だった」
「神様!?」
恵理ちゃんは素っ頓狂な声を上げた。
間違うはずがない。あの圧倒的な気配、立ち上がることが出来ないほどの畏怖、そして鈴の音色。
どれも神修で須賀真八司尊が現れた時と同じだった。