「おばあちゃん大丈夫!?」
恵理ちゃんが叫ぶと、おばあちゃんは苦笑いで顔を上げた。
「大丈夫大丈夫。ごめんなぁ、ちょっとビックリしてもうて」
おばあちゃんはそういって空を見上げる。
まるで大きな龍が渦を巻いて空を飛んでいるようだ。雲の奥が白く光って雷鳴が響く。
肩に圧し掛かる圧が雷鳴が響く度に強くなる気がして、肺が押しつぶされそうだ。息をするのもやっとで、地面に手をついた。
オーサキはこんなに大きな災いを起こせるような憑き物ではなかったはずだ。
だとしたら、この家に憑いていたのはオーサキではなかった。
「何が、起きてるんだ……」
嘉正くんが苦しそうに眉間に皺を寄せてそう呟く。
「まずい、大きいのが来る……!」
来光くんがそう言った次の瞬間、フラッシュを焚いたように辺り一面が強い光に包まれた。
雲の渦の中心から太い稲妻が伸び、それが家の屋根に落ちたのだと理解する前に爆発音のような落雷音が轟く。
悲鳴が家の中から響いた。