「みこ……!?」
恵理ちゃんが駆け寄ってきて私の肩を抱いた。
「どうしたの!?」
「……ッ、恵理ちゃんは、平気?」
「さっきからちょっと息苦しい感じがするけど……何か関係あるの!?」
恵理ちゃんですらこれを感じているなんて。
「何が起きてるの!?」
そう問われて眉根を寄せる。
恵理ちゃんの家で怪異を起こしていたのはこれで間違いないはずだけれど、今感じるのはただ圧倒的な力だけ。
もし憑き物が憑いていたなら、感じるのは本当にこれだけだろうか?
どちらかと言えばこの感じは、畏怖で体が竦む感じと似ている気がする。
一体何が起きてるの?
眉間に皺を寄せて顔を上げて、はっと息を飲んだ。
「空が……」
暗い色の分厚い雲が、家の上に渦巻いていた。
「みんな……! 最初からッ────」
やり直すよ、という続きの言葉は激しい落雷音でかき消された。
きゃあッ、と悲鳴が聞こえて直ぐに「母さんッ!」と恵理ちゃんのお父さんの慌てた声が響いた。
尻もちを着いたおばあちゃんが叔母さんに背を支えられていた。