次はいよいよ祝詞奏上だ。
奏上する祝詞は中臣祓、憑き物祓いに効果のある祝詞だ。
オーサキについては授業で習ったけれど、対処方法は私達が気を失っている間の授業内容だったらしい。
私たちは一晩かけて嘉正くんからプチ講義を受けて、中臣祓の意味を調べ必死に詞を覚えた。
三人揃えて鋭い柏手を打つ。邪気を打ち払う強い音を響かせた。
……大丈夫、落ち着いて。
昨日嫌になるほど繰り返し唱えて覚えた。頭の中には入っているから、落ち着いて奏上すれば問題ない。
す、と皆の呼吸音に合わせて短く息を吸い込んだ。
「高天原神留坐す皇吾親神漏岐神漏美命以八百萬神等を神集へに集へ給ひ神議に議り給て吾皇御孫命は豊葦原瑞穂國を安國と平けく知食せと事依さし奉き此く依さし奉りし國内に荒振神等をば神問はしに問はし給ひ神掃に掃へ給て言問し────」
次の瞬間、まるで静電気に触れたかのようにぴりっとした痛みが合わせた手のひらの中に走った、驚いて手を離してぱっと顔をあげる。
同じように異変を感じたのか、嘉正くんと来光くんも身を見開いて自分の手のひらを見つめていた。