祭事の流れはまず開式の宣言から始まり、祓詞を奏上し修祓を行う。
そして神前に神饌品を供える献饌を行って、いよいよ祝詞奏上だ。
家の奥から白い煙がふわりと出てきて、少し鼻の粘膜がぴりつく。
中のチームも順調に進んでいるようだ。
事前に話してはいたけれど煙が出てきたことに驚いたのか「本当に大丈夫なの?」と恵理ちゃんの叔母さんが顔を顰める。
嘉正くんは愛想のいい笑みを浮かべて大きく頷いた。
「お伝えしました通り、これは"オーサキ"と呼ばれる憑き物を炙り出すための煙です。唐辛子を燻しているので、気分が悪くなった方がいらっしゃいましたらお声がけ下さい」
そこまでする必要があるの?と叔母さんは小さく呟くも、ひとつ息を吐いて口を閉じる。
憑き物によって炙り出す方法は色々あって、イタチの霊魂であるオーサキは唐辛子なんかの刺激物を燻した煙で炙り出すことが出来るらしい。
出てくる煙が多くなってきた頃に私達は顔を見合せてひとつ頷いた。