パフォーマンス、無料、と聞いて、頑なになっていたおばさんたちの表情がふっと和らぐ。

まるで魔法にでもかけられたように『無料ならなぁ……』『まあ恵理のためやと思って……』と先程とは正反対の反応を見せる。


『ありがとうございます』

にっこりと微笑んだ嘉正くんに、私達は後ろで顔を見合せた。


「……おばさん達に、真剣に話しただけだよ」

「へぇ! そんなにあっさり信じる人達だとは思わなかった」

「はは……」


まだ納得の言っていない表情ではあるけれど、恵理ちゃんは「じゃあ、よろしくお願いします」と私達に頭を下げて家族の元へ走っていく。

おばあちゃんに寄り添うように並んだ姿を確認して、隣で神具を整えていた嘉正くんに話しかけた。


「嘉正くん、あんなのどこで習ったの……?」

「ん? ああ、さっき家族に説明した時のやつ? 家で神事の手伝いをする時にちょっとね。人も妖もそうだけど、一定の割合で神とかお祓いとか御守りとか全く信じてないひとがいるんだよ。そんな時に、"貴方は信じてなくてもいいです。ただ周りの人が不安がってるんで一緒に受けてあげて下さい"って言えば、大抵の人がころっと態度を変えるんだ」

「ころっと……」

「うん。そういう人達って、そういう行いが馬鹿らしいとか恥ずかしいとか思う人が多くて、他の人のせいにすればあっさり受け入れてくれるよ」