「────恵理ちゃん! お待たせ」

家の前で不安げに立っていた恵理ちゃんは、私たちの姿を見つけるなりほっと息を吐いた。

大きくてを振り返す恵理ちゃんにみんなで駆け寄る。

ダンボールの影から顔を出した泰紀くんが首を傾げた。


「恵理、昨日は大丈夫だったか?」

「うん……! 不思議なことに、昨日はホントに何も起きなくてぐっすり眠れたよ」


良かった、とひとまずほっと息をつく。


「みんな大荷物だね……それって全部神事に使うもの?」

「うん。運び込んでもいい? ついでにおばさんにも話してくるね」


そう言った途端に不安げな顔をした恵理ちゃん。



「大丈夫かな……? お父さんもお母さんも、お化けとか幽霊とかの類は全く信じないの」


それは私も少しだけ心配していたところだ。

急に「あなたの家には幽霊がいます」と言われて「はいそうですか」と受け入れられる人の方が珍しいだろう。

しかも、それが経験豊富そうな年配の神職ではなく、私たちのような子供なら尚更だ。



「ああ、その点は安心して」


嘉正くんがちょっと得意げにそう言って笑った。