玉じいに苦い顔をされながらももう一泊した嘉正くんたち。
そしてお昼の少し前に、神事の前の沐浴────もといシャワーを順番に済ませると、恵理ちゃんの家へ向かった。
「ごめんね、全部持ってもらって」
私以外のみんなは大きな段ボール箱を胸の前に抱えている。神事に使う神具を入れたものだ。
昨日、あのあと簡単な作戦会議をした私たちは恵理ちゃんの家族に丁寧にお礼をして帰路に着いた。
私の家に戻ってくると、神事に使う神具の代わりになるようなものを皆で集め始めた。
神鏡に榊立、瓶子に水玉に三宝────そんなものウチに揃っているはずもなく、「これならいけるんじゃね?」「三宝ってダンボールで作れるっぽいぞ」なんてワイワイ騒ぎながら準備を進める。
私も榊立の代わりになるような花瓶はないかと思ってもう随分と触っていない倉庫代わりになった押し入れをひっくり返す。
「どう? 何かありそう?」
私が取り出した雑貨を見聞していた嘉正くんがそう声をかけてくる。
「うーん……めぼしい物はやっぱり無さそ────んん?」