確かに家に幽霊がいると言われれば、誰だってそんな反応になる。
妖に慣れてきた私ですら、幽霊と聞くとちょっと怖い。
「オーサキって言うのは奥武蔵に伝わるイタチににた憑き物のことなんだけど、地方によっては狐の姿って言われてる説もあってさ」
「良いオーサキが憑けばその家は富み、悪いオーサキが憑けば家に悪いことが起きたり住人に被害が出るんだよ」
慶賀くんと泰紀くんが代わる代わるに、どこか誇らしげに胸を張って説明する。
嬉々先生の「憑物呪法」の授業を毎回必死になって予習と復習した成果がしっかり実を結んでいるようだ。
「じゃあ、うちの場合……イタチの悪い幽霊が家に住みついて、あの怪奇現象を起こしてるってこと……?」
うん、と頷く。
恵理ちゃんは眉根を寄せて俯いた。
「あの────言おうか迷ったんだけど、こうなった以上恵理ちゃんは知っとくべきだと思うから、言わせてもらうね」
嘉正くんは歯切れの悪い言い方をして、ゆっくりと口を開いた。